【児童発達支援計画】の例を紹介☆障がい児入所施設向け

福祉

児童発達支援計画とは?

児童発達支援計画(以下、支援計画)は、子どもたちが適切な支援を受けるために策定される計画書です。

支援計画は、児童発達支援管理責任者(以下、児発管)と呼ばれる専門職が作成します。

児発管は各施設に1人以上設置するよう定められており、子どもたちの個別ニーズに合わせた総合的な支援を提供するために、ケアプランの作成や管理、支援員の指導や教育、連携とコミュニケーションなどの役割を担います。

障がい児入所施設では4月と10月の年2回支援計画を作成します。

支援計画は、施設内だけでの支援だけでなく、地域での生活支援や就労支援など、将来的な生活の展望にも配慮した総合的な計画です。

最終的には児発管が作成しますが、利用者やその家族、現場の支援員、看護師、管理栄養士、地域の関係機関、専門家などの意見も踏まえ、子どもたちにとって最適な支援計画を作成します。

児童発達支援計画の手順

アセスメントシートの作成→課題整理表の確認→児童発達支援計画の作成→児童発達支援計画の実行→モニタリングを繰り返します。

児童発達支援計画を作成する際のポイント

ニーズに合わせて作成する

例えば、「勉強を頑張ります」という支援計画を立てた際に、実際に勉強をするのは子どもたちです。

子どもに勉強を頑張りたいという思いがないのであれば、それは支援員が押し付けた計画書となります。

そうならないように子どもたちに何ができるようになりたいか、どんな自分になりたいか聞きながら、一人ひとりのニーズに合わせた支援計画を作成します。

子どもたちの中には話せない子もいます。その場合は、支援員が子どもが抱えている課題を把握し作成します。

細かく設定する

ただ「勉強をします」だけであると子どもも支援員もその支援計画をいつ実行すれば良いのかわからずそのまま半年経ってしまいます。

そうならないように何曜日なのか、時間帯はいつか、週に何回取り組むのか、どのような手段で取り組むのか具体的に細かく設定をします。

保護者の参加を促す

保護者とつながりがある家庭の場合は、できるようになってほしいこと、チャレンジしてほしいこと等あるか確認します。

支援計画の作成に積極的に参加してもらように努めます。支援計画に組み込みます。

普段からコミュニケーションや相談の機会を持ち、協力関係を築いておくことが大切です。

 

長期支援目標

長期支援目標は1年間で達成できそうな目標を立てます。

入所時に子ども相談センターが定めた支援方針に基づいて立てます。

後ほど紹介する発達支援計画のように細かく設定するというよりかは大まかなものとなります。

例)様々な経験をしてできることを増やします。

高校生に向けて準備を始めます。

大人に気持ちを伝える方法を身につけます。

短期支援目標

短期支援目標は半年間で達成できそうな目標を立てます。

例)上手に食べられるようになります。

お部屋を清潔に保ちます。

身の回りのことができるようになります。

ここからは具体的にどのような発達支援計画があるか例を挙げます。

掃除

掃除機をかけます。

毎週〇曜日の朝に掃除機をかけます。

掃除機の使い方は支援員と一緒に使いながら覚えます。

掃除機が部屋全体にかけられるよう床に置いている玩具や雑誌は決まった場所に片づけます。

部屋を掃除することができるようになります。

毎週〇曜日の学校から帰ってきた後に、支援員と一緒に掃除を行います。

できたら頑張り表にシールを貼るようにして目で見える形で褒めて支援します。

掃除用品としてほうきとちりとりの購入を行います。

コミュニケーション

大人と一対一で遊びを楽しみます。

毎週〇曜日の20時から支援員と一対一で遊ぶ時間を設けます。

遊びを通し、相手と心地よく関わる経験を重ねます。

遊びの内容は、〇〇ちゃんと相談して考えます。

支援員間で〇〇ちゃんの様子を共有し、日々の支援に繋げます。


絵本を音読します。

毎週〇曜の朝の時間に、大人と一対一の時間を設け、好きな絵本を声に出して読みます。

絵本は〇〇ちゃんと相談し、読みたい本を用意します。

楽しく取り組むことを主とし、発声を通して活舌の練習に繋げます。

学校とも〇〇ちゃんの様子を共有します。

 

職員と一緒にお友達と遊べるようになります。

お友達と遊んでいる時に、楽しさからお友達を叩く等の好ましくない行動が見られます。

好ましくない行動をした時は、「✖」のカードを見せます。

本人が理解しやすいよう学校と連携して支援の統一化を図り、簡単な約束が理解できるように支援します。

気持ちが落ち着かない場合は一人で好んで遊べるものや場所を移動して、気持ちが切り替えやすいようにします。

 

絵を見て物がわかるようになります。

実物でないと物の理解が難しいことがあります。生活の場面でより見通しが持ちやすく自分の気持ちを伝えやすくするために、身の回りの実物と写真を一緒においてつながりやすいようにします。

段階的に、写真からイラストにしてつながりの幅を広げ、カード等でコミュニケーションがとりやすくするようにしていきます。

 

 

お友達と楽しく過ごせるようになります。

保育園でお友達と仲良く過ごします。

コミュニケーションや簡単なルール、身辺自立など、同い年の子どもと関わる中で、模倣したり刺激を受けながら〇〇ちゃんのできることを増やしていきます。

気持ちを伝えることができるようになります。

「楽しい」「悲しい」「怒っている」などの絵カードをお部屋に準備します。

支援員に気持ちを聞かれた時に自分で選び気持ちを伝えられるようになります。

また、状況に応じて支援員が間に入り気持ちを言葉でも伝えられるように練習します。

自活

朝食作りを通して調理の経験を積みます。

退所後、一人暮らしをしたいという想いを持っているため、調理の経験を重ね料理の作り方や包丁等の器具の扱い方を学びます。

月に1回第4〇曜日に朝食作りを行います。

メニューは月初めに〇〇さんと相談して決めます。

最初の時間一人で食べ物をスプーンですくって食べられるようになる。

食事に比較的集中できる最初の10分間、〇〇君にスプーンを持ってもらい、支援員が手を添えて自分で食べる練習をします。

学校とも食事の支援方法について情報共有します。

 

自転車に乗ることができるようになります。

毎週〇曜日の11時から近くの〇〇公園で自転車の練習をします。

支援員が後ろから支えたり、必要に応じて補助輪をつけて乗ることができるように支援します。

安全に行うためにヘルメットを着用します。

ウンチがトイレでできるようになる。

トイレトレーニングを行います。

昼食後、夕食後の排泄が比較的成功しやすいと思われるため、昼食後、夕食後にトイレに座り、排便を促します。

踏ん張りやすくするため、足置きを用意し下腹部に力が入りやすくします。

できた時は、一緒に喜び成功体験を重ねていきます。

買い物

小銭を使います。

月に1回、おやつの買い物の際に、小銭の使い方を練習します。

あらかじめ財布の中に小銭を用意し、その中から必要な小銭の種類・枚数を数え、使用します。

また、玩具の小銭を使用する機会を持ち、練習を重ねます。

 

お金の管理の仕方を学びます。

ドレッサーを購入することを目標として毎月500円貯金します。

お小遣い帳をつけて月末に貯金額を振り返ります。

翌月のお小遣いの使い方を支援員と相談し、お金の管理の仕方について考えます。

電卓を使って買い物ができるようになります。

月に1回のスーパーでの買い物の際に取り組みます。

値札を見て消費税が含まれた値段の高い方を自分で電卓に打ち込み計算をします。

レジでの店員さんとのやりとりも行います。

学習

土日に自主学習をします。

毎週〇曜日に自主学習をします。

一般就労を目指し、必要な知識を身につけます。

学校と連携し、学習内容の検討を行います。

継続して実施できるように1日1ページを目標にして取り組みます。

簡単な計算問題に取り組みます。

毎週〇曜日の朝食後の時間に小学校3年生程度の計算問題に取り組みます。

楽しく習慣づけて取り組めるように1回に1枚ずつ取り組みます。

わからないところは支援員に質問します。

自分に合ったドリルを購入します。

家族関係

家族と定期的に交流します。

電話交流や面会を通して家族との交流を深めます。

電話交流は月に1回実施し、自分のことや学校での出来事を知ってもらいます。

面会は、家族の負担なども考慮し半年に1回程度実施します。

長期休みに外泊をします。

母に定期的に面会・外出の連絡を行い、夏休みなどの長期休みに外泊を行うことができるように段階的に進めていきます。

こども相談センターと相談しながら将来を見据えた支援を行います。

まとめ

児童発達支援計画は、作るのは容易ではないですが施設で生活している子どもたちにとって必要なものです。

日々の生活の中で気づいた課題を基に支援計画を立てることで、子どもの発達レベルや目標を把握し、適切な支援を提供することができます。

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